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フスト・ガジェゴ・マルティネス大聖堂 (スペイン)

CATHEDRAL DE JUSTO GALLEGO MARTÍNEZ
(SPAIN)

50年以上、一人で造り続ける大聖堂

2005年、一人の老人が大聖堂を造っている模様が取り上げられた清涼飲料水のアクエリアスのCMが大変な話題になりました。10年経った今でもまだその老人が大聖堂を造り続けているとの噂を耳にし、行ってみることにしました。

大聖堂を造っている老人の名前はフスト・ガジェゴ・マルティネス(Justo Gallego Martínez)。そして、大聖堂もそのまま彼の名前を取り、フスト・ガジェゴ・マルティネス大聖堂(以後フスト大聖堂)と呼ばれています。

大聖堂の塔の上には、いくつものコウノトリの巣が乗っています
大聖堂の塔の上には、いくつものコウノトリの巣が乗っています

マドリッドの中心から21km東に行った、メホラーダ・デル・カンポ(Mejorada del Campo)の町は12世紀から存在したそうですが、昔の面影は全く残さない、あまり高くないマンションが建ち並ぶ近代的な郊外の町です。中心地から少し外れた場所に建つフスト大聖堂は、広さ4740平方m。ドームは36m、塔は60mの高さがあり、だいぶ離れた場所からでも、未完成のドームと塔を見ることが出来ます。

フスト老人は1925年9月20日、メホラーダ・デル・カンポ生まれ。2016年現在、なんと91歳!!!

27歳の時に修道士になるために、カスティージャ・イ・レオン州のソリアにある修道院に入りますが、8年後、伝染性の肺病にかかり、感染を恐れ、修道院を出て生まれ故郷に戻ります。キリストに仕えることが自分の使命と考える彼は、親から受け継いだ土地に大聖堂を造る決心をするのです。建設が始まるのは1961年10月12日、36歳の時です。

土地を売り、工事現場に通って捨ててある物を集め、近くのレンガ工場からは売り物にならないレンガをもらい、と少しずつ、本当に少しずつ造っていきます。

アクエリアスのコマーシャルを機に、スペインからだけではなく、世界各国から取材が訪れ、多くの援助金も寄せられ、資金的にはずいぶん楽になったと思います。しかし彼は毎年ひとつずつ歳を増していくわけです。

資金の援助だけでなく、建設に手を貸すと申し出る人もたくさんいるはずです。しかし彼はそれを拒否しているようです。唯一、たまに彼の甥たちが空いた時間に手伝っているそうですが、フスト老人は大聖堂を自分の手で造り上げる、という強い信念を持っているのではないでしょうか。

元修道士で、現在もキリストに仕えているのですから、もの静かな優しい老人だと思っていましたが、YouTubeを見ると、見学をしたいという人たちを門前払いにしたり、話を聞きたいという人には「何のためにだ」と背を向けて行ってしまったりで、かなり偏屈なおじいさんのよう。中には入れないものとあきらめていましたが、外回りだけでも、と行ってみますと、階段を上がった正面と思われる格子戸には、中から高くブロックなどが積み上げられ、覗くことも出来なくなっていました。が、脇に回ってみると扉が開けっ放しで、誰でも中に入れるようになっています。入口に置いてあるお布施の箱に“お気持ち”で入場料を。

入口の扉の横には、セメントの袋が積み上げられています
入口の扉の横には、セメントの袋が積み上げられています
キリストと12人の聖人の像も、まだそろっていません
キリストと12人の聖人の像も、まだそろっていません
マリア様の像も祀られています
マリア様の像も祀られています
ドームの高さは36メートル
ドームの高さは36メートル
絵を描くのは誰なのでしょう?
絵を描くのは誰なのでしょう?
大聖堂の周りには、マンションが建ち並びます
大聖堂の周りには、マンションが建ち並びます
いつの日か終わる日が来るのでしょうか?
いつの日か終わる日が来るのでしょうか?

中は「すごい!」の一言に尽きます。1時間ほど見て周りましたが、フスト老人は休憩で部屋に入ってしまったそうで、会うことが出来ませんでした。何度か訪れて、彼の働く様子をぜひ写真に収めたいと考えています。

 

30年間スペインのマドリッド暮らしで、観光ガイドをしています。
ガイドブックには載っていない、パック旅行では行かない、私も知りたい、そんないいこと、いい所を皆さんにご紹介。