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スモーレスト・ハウス (オランダ)

THE SMALLEST HOUSE
(NETHERLANDS)

ヨーロッパ最小の家はアムステルダムにあり!

アムステルダムの街は、運河や美しい橋、レンガ造りの家々が織り成す愛らしい風景で知られています。街が拡大する17世紀に「間口税」があったため、運河沿いの家は間口が狭く、奥行きが深い造りになりました。船の積み荷の上げ下ろしに便利な運河沿いの土地が貴重だったためです。通りに面する玄関の間口だけを狭くして、奥には快適な空間を広げるという税金対策も行われていました。

アムステルダムで一番小さい家は、中心街のアウデ・ホーフ通りにあります。間口2.02m、奥行き6m、床面積9㎡というミニチュアサイズは、ヨーロッパの中でも最小と言われています。運河沿いのカナルハウスをそのまま小さくしたような愛らしい外観で、赤色に塗られた窓枠が目を引きます。

中央がアムステルダムで一番小さい家。隣はワロン教会の門、1616年建造。
国家遺産に指定されているため外観を変える際は国の許可が必要。

ミニチュアサイズとはいえ、典型的なアムステルダムの切妻屋根を持ち、屋根裏を含めれば立派な4階建て。1738年に建てられてから250年もの間、住宅や店舗、職人の工房として使用され、現在はオランダの国家遺産に指定されています。界隈は、1409年に建てられたワロン教会(当初はカトリックの修道院)や、17世紀初頭よりオランダ黄金時代を支えた東インド会社本部などがある歴史地区。中世のアウデ・ホーフ通りは、船乗りや商人、買出しに行く召使いなど多くの人々で賑わいました。

1768年の平屋だった頃の外観(左)と1787年の増築後の外観(右)

2014年6月15日、この小さな家にティールームがオープンしました。その名も『The Smallest House』。建物内に一歩足を踏み入れると、9㎡ならではの心地良い空間が広がります。壁一面に並べられた茶葉から漂う癒しの香り。気さくで親切な店主のニルスさんが、歴史を説明をしてくれたり、茶葉の選び方をアドバイスしてくれます。茶葉の瓶をひとつひとつ開けながら、オランダならではの紅茶、ハーブやフルーツとのブレンド、チョコ入りのものなど、匂いを嗅いでいるだけで幸せな気持ちになれます。1階のショップでは、缶や量り売りの茶葉の他にも、チョコレートや蜂蜜、ティーアクセサリーなどを購入できます。

店主のニルスさん。「なるほど!ザ・ワールド」特番のロケで柔道家の篠原信一氏が来店したことがあると教えてくれました。

小さな螺旋階段を上ると、2階には小人の部屋のようなティールーム。天井の高さはわずか2mですが、窮屈さを感じさせないクラッシックで落ち着いた空間です。オリジナルブレンドの紅茶や自家製のペイストリーを、朝食・ランチ・アフタヌーンティーで楽しめます。豪華なホテルやレストランも良いですが、「秘密」のティールームで記念日をお祝いしたり、歴史あるアウデ・ホーフ通りを見下ろしながら、オランダの黄金時代に思いを馳せるのもまた乙です。

極上のティールームは5名様限定!
『The Smallest House』の茶葉やティーグッズはお土産にもおススメ

The Smallest House in Amsterdam

about the navigator

Kayo Temel
オランダ在住。アムステルダムの美術アカデミーで絵画を学び、イラストレーターとして活動中。
16年の在蘭経験を活かして、オランダを満喫するためのローカルな情報をお届けします。