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サンタントニオ・アバーテ教会 (イタリア)

CHIESA DI SANT’ANTONIO ABATE
(ITALY)

一見の価値あり!一風変わった斬新なフレスコ画

トスカーナ州といえばフィレンツェを思い浮かべる方が多いと思いますが、同州北西部の海岸沿いは、夏になるとセレブが集うビーチリゾート地として有名です。その海岸線から3km程内陸に入ったところ、フィレンツェの西方約80kmに、ピエトラサンタという人口2,5000人弱の小さな街があります。

ピエトラサンタの中心部広場

大理石の産地といえば、カッラーラの知名度が高いのですが、その近郊にあるピエトラサンタも大理石の産地として栄えました。
1518年にフィレンツェのサンロレンツォ教会のファサード建築を依頼されたミケランジェロが、カッラーラに大理石の選定に訪れた際に暫しピエトラサンタに滞在していたらしく、街の広場にあるバール・ミケランジェロの建物の壁にその事が記されています。

大理石の供給により芸術の発展を支えてきたピエトラサンタは、言わずもがな芸術の街として有名で、多くのアーティストが住んでいます。彫刻家、安田侃氏もアトリエを構えて創作活動をされているそうです。街のあちらこちらに彼らの作品が展示されており、まさに街自体が美術館といった感じです。そんなピエトラサンタの目抜き通りに、気を付けていないと見過ごしてしてしまいそうな小さな教会があります。

サンタントニオ・アバーテ教会
教会の内部

1300年代に建てられたという、サンタントニオ・アバーテ教会では、一風変わった斬新なフレスコ画を見ることが出来るのです。教会に一歩足を踏み入れると、正面にこじんまりとした質素な祭壇がある、一見普通の教会なのですが、左右の壁に描かれたフレスコ画、「天国の門(La Porta del Paradiso)」と「地獄の門(La Porta dell’inferno)」は、なんと、ぽっちゃり系の人物像でおなじみのコロンビアを代表するフェルナンド・ボテロが描いたものなのです。

「天国の門(La Porta del Paradiso)」
「地獄の門(La Porta dell’inferno)」

1993年にボテロが手掛け、論争を巻き起こしたというフレスコ画ですが、天国の門には、ふくよかな聖母、そしてマザーテレサが鮮やかな色で表現されています。地獄の門には、悪魔や骸骨に紛れてヒトラーやコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルの顔が。
そして、その中に交じってボテロ自身、彼の妻ソフィア、そして庭師のマリオ氏も描かれているのだそうです。さて、彼らがどこにいるか分かりますか?

ところで、ボテロの絵が何故イタリアの教会に?と思われるかもしれませんが、彼も他のアーティスト同様、この街に魅せられて居を構えることになったようです。教会のフレスコ画だけでなく、街の入り口で出迎えてくれる「戦士像(Il Guerriero)」もボテロの作品です。

街の入り口に立つ「戦士像(Il Guerriero)」

about the navigator

ぱぺら
2011年よりイタリア・リグーリア州に在住。
イタリアの田舎生活、築500年になる自宅の改装やイタリア料理のレシピ、
2016年秋から新しく居を構えたピエモンテ州・トリノの情報をブログにて発信しています。