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世界の珍スポット - for curious travelers

「スカーフの」聖ヨルギオス(ギリシャ)

Agios Georgios Mantilas
(greece)

世界遺産メテオラで、スカーフに込められた祈り

ギリシャで最も人気の高い観光スポットのひとつ、メテオラ。「天空の」という意味を持つ名の通り、天にそびえる巨大な奇岩郡とその上に建つ修道院は人々を魅了し、世界中から多くの観光客が訪れます。

メテオラの奇岩郡
緑豊かな森と岩の対比も美しい

この国を旅していると、至る所に大小さまざまな教会や修道院があり、こんな場所に!とびっくりするような僻地やアクセスの悪い場所にも修道院が建っているのをよく見かけます。メテオラはその最たるもので、ただ登るのですら困難な巨岩の上に修道院が建っている風景は、非日常的かつ神秘的です。

雄大な自然も魅力。中央に見えるのは聖ニコラオス・アナパフサス修道院

俗世から離れた所に修行の場を求めた隠修士たちが、メテオラの奇岩の洞穴や隙間に住み着きはじめたのは9世紀頃。11~12世紀にはコミュニティができはじめ、14世紀には岩の上に修道院も建てられました。最盛期には24もの修道院がありましたが、現在も活動中の修道院は6つで、いずれも見学が許可されています。

聖ニコラオス・アナパフサス修道院
ヴァルラアム修道院
ルサヌウ修道院

 

ここメテオラにおいて、ちょっと変わっていて目を引くのが「スカーフの聖ヨルギオス」(聖ジョージ)と呼ばれている場所です。カストラキ村に面した岩のひとつに開いた洞穴に、まるで洗濯物を干しているように見えるところがあります。よく見ると修道院の廃墟のようなものがあり、その周りにかけられているのは、色とりどりのスカーフやハンカチ。

岩肌に映える色とりどりのスカーフ
スカーフの聖ヨルギオス

村の言い伝えによると、トルコの占領下にあった17世紀のこと。トルコ人の兵士が聖ヨルギオスの森で木を切っていた時に事故に遭い倒れてしまいます。木の下敷きになって意識を失ったとか、いきなり腕が痺れて動かなくなったとか、この話にはいくつかのバージョンがあるのですが、夫の回復を必死で祈った妻が聖ヨルギオスに捧げたのが、彼女の持ち物で一番貴重だったスカーフ(ヒジャブ)。村人がこれを持って岩に登り奉納したところ、男はたちまち回復したと言われています。それ以来この岩の洞窟には、健康や幸福、幸せな結婚を願って村人たちがスカーフを奉納するようになりました。

毎年、聖ヨルギオスの祝日には、村の若者たちが40mもの高さを登ってスカーフを納めにいきます。まずは岩登りに一番長けた人が登って上からロープを垂らし、他の人が後に続きます。かなりの危険が伴うのですが、今までに死者や怪我人はひとりも出ていないのは聖ヨルギオスの加護によるものだとか。
スカーフを納めるとその年一年の健康が約束されたり、また、カップルは絆が強まるのだそう。前年に納められたスカーフは回収され、その端切れはお守りとして配られます。