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世界の珍スポット - for curious travelers

バールレ=ナッサウ (オランダ)

Baarle-Nassau
(netherlands)

町中に無数の国境線!?オランダ南部バールレ=ナッサウが不思議おもしろい!

周りを海で囲まれている日本で育った僕が、ヨーロッパへ移住して密かに夢みてたこと、
それは、国境線を足でまたいで越えること!
そんな国境越えが嫌というほど味わえる、
“国境線だらけ町” がオランダにあるという。
密かな夢を叶えるため、僕はその町を訪ねたのだが、そこは想像以上に不思議な場所だった…。

首都アムステルダムから車で1時間半。
オランダ南部、ベルギーの国境付近にあるバールレ=ナッサウ(Baarle-Nassau)がその「国境線だらけの町」だ。

一見ごく普通のオランダの田舎町なのだが…、

町の入り口にはこんな看板が、

そして、道には国境を表す線が引かれいる!
「NL」がオランダ、「B」がベルギー。

そもそも、領土が別の国の中にある場所を「飛び地」と呼ぶのだが、
実はこの「バールレ=ナッサウ」の中には、ベルギーの飛び地「バールレ=ヘルトフ(Baarle=Hertog)」が21箇所も点在し、
さらに「バールレ=ヘルトフ」の中にもオランダの飛び地がある珍しい地域なのだ。

町の観光案内所に行くと、何とも不思議な地図を見ることができる。
黄色の部分がオランダ、そして、紫の部分がベルギーだ。

町中にひかれる国境、また国境!

町の中心へつながるカペル通り(Kapelstraat)を歩くと、約300mの間に、
オランダ・ベルギーの国境線が5つもある。
こうして、「国境線を足でまたいで越える」という僕の夢はあっさりと叶ってしまったのだった。

こちらは、国境線の横で(座り方によったら国境線の上で)食事を楽しめることで知られるレストラン「De Engel」のテラス席。かろうじてオランダ圏にある。

このレストラン、観光客に人気でいつも混み合ってはいるが、食事はリーズナブルで美味しい!
何語で注文して良いか迷うとこだが、店員さんは全員英語OKなようなので、ここへ訪れたらぜひ足を運んでほしい。

家の正面玄関がオランダ内にあるか、ベルギー内にあるかで、その住人の国籍が決まるのだが、
ローフェレン通り(Loveren)には、オランダとベルギー両国にまたがる家がある。

オランダの住居番号は19、ベルギーでは2。
郵便物の受け取りとか、住民税とか、住人の暮らしぶりが気になるところ…。

こちらは国境にまたがる日用雑貨店。

駐車場には、国境をまたいでパーキングする車が!

さらに、モーレン通り(Molenstraat)沿にあるビール専門酒屋「De Biergrens」は特におもしろい。

こちらも国境にまたがる店なのだが、

店の中にも丁寧に国境線が引かれてある!
国境線に合わせて、陳列されているビールもオランダ産・ベルギー産に分けられているのか!

と思いきや、陳列は産地別ではなく種類別のようだ。

余談だが、この店は、ベルギー発祥の修道院で作られる発酵ビール「トラピスト・ビール」の種類が豊富!訪れた際はぜひトラピスト・ビールの大人買いをオススメする。

「国境線だらけの町」の歴史

でも、なぜこの地域は、このような複雑に入り組んだ「国境線だらけ」になってしまったのか?
さかのぼること中世ヨーロッパ時代、この地域一帯では、現在のオランダ領南部を治めるブレダ領主(Lord of Breda)と、そこを植民地とするローマ帝国のブラバント公爵(Lukes of Brabant)の間で領土争いが繰り広げられていた。
“農業はブラバントが仕切り、それ以外の商いはブレダが仕切る”。この協定のせいで、領土の交換が何度も行われ、ブレダ領主は「バールレ=ナッサウ」を手元に残した。ヘルトフ(オランダ語で公爵の意味)はブラバント公爵領であったことを意味する。

そして1843年、ベルギーが独立した際に、この2つの領土は条約により、それぞれがオランダ領とベルギー領とに分けられることとなった。その後、両国政府の間で何度か飛び地解消に向けた交渉が行われたが、住民の反対などもあり、解消されないまま今日に至る。

両国の良いとこ取り!?住人にはお得ばかり

バールレ=ナッサウにある教会
バールレ=ヘルトフにある教会

オランダ「バールレ=ナッサウ」とベルギー「バールレ=ヘルトフ」。
それぞれ、生活のシステムも違えば、法律も違う。
そのため、狭い地域ながら、消防署・郵便局・学校など主要な施設が、
オランダ式とベルギー式のダブルで存在する。
両国にある教会は徒歩3分しか離れていない。

オランダとベルギー、両方のバスが使えるバス停。

お店事情もおもしろい。
「バールレ=ナッサウ」には、アダルトグッズやポルノが売られているセックスショップがある。ベルギーでは法律で厳しい規制が入るセックスショップだが、ちょいとバールレ=ナッサウに入ってしまえば、それも楽しむことができるのだ。

また、オランダでは法律により花火の販売は一年に一定の期間(年末)のみ。でも、ベルギーならOK。ということで、「バールレ=ヘルトフ」には花火専門店があり、オランダ人も買うことができる。
さらに、ベルギーでは通常日曜日はどのお店もお休み。しかし、オランダは違うので、日曜日になると「バールレ=ナッサウ」のお店が繁盛するのだとか。

個人的に気になるところが、教育システム。
現地の人に聞いてみると、狭い地域に2つの国の学校があり、子供はどちらに行くか選べるらしい。
「オランダの教育=自主性を大切にノビノビ」
「ベルギーの教育=規律と学力を重視」
全く違う教育の風土があり、親の教育方針によって子供の行く学校が決まる。
オランダ人とベルギー人の国際結婚も多いようで、それぞれの良いところを合わせて教育に活かしているらしい。

またその現地人が興味深いことを教えてくれた。
この地域を歩いていると、国境線をまたぐまで自分が今どの国に立っているのか分からなくなるのだが、それを一発で見分ける方法。
それは、家の造りを見ること!

オランダ人は開放的な人が多いので、オランダの建物はもれなく大きな窓が特徴。

反対に、ベルギーの建物は窓が小さく、ドシっとした造りが多いらしい。

滞在すれば滞在するほど、聞いたこともない現地あるあるが飛び出す。
おもしろすぎるぜ、「バールレ=ナッサウ」!
散歩がてらに国境越えを体験できる町。
牧歌的で小さな町ですが、オランダ、ベルギーにお立ち寄りの際はぜひ!