竹村健一の壁画 (アメリカ)

MURAL OF TAKEMURA
(USA)

NYのおしゃれな街角に残る、とある日本人の肖像

1970年代より多くのアーティストやデザイナーがアトリエを構え、今では最先端のギャラリーやブティックが集まるSoHoの東隣に、Nolitaと言われるエリアがある。
元々イタリア人街だった(NolitaはNorth of Little Italyの略)だったが、近年は人気のカフェやブティックが軒を連ねるニューヨーク屈指のオシャレなエリアになっている。

そんなおしゃれな街に一風変わった壁画が存在する。
Prince St.とMotto St.の交差点近くにある人気の靴屋Sigerson Morrisonの上を見上げてみてほしい。
街路樹が邪魔だが、左隣の建物の壁に巨大な顔が描かれているのが見えるだろう。

描かれたのは相当前なのだろう。全体的に色あせていて、かなり劣化しているのが分かる

「あれ?この顔どこかで見たことあるな…。」

そう思ったあなたはover30。
ここに描かれているのは、日曜日の朝の政治番組で、いつもパイプを燻らせながら辛辣なコメントを残していた政治評論家の竹村健一氏の顔なのだ。

1985年にアデランスのCMの為に描かれたこの壁画。
諸事情で30年も消されずにそのままになっているという。
そのCMがこちら。

この道を行くほとんどの人は、これが誰なのかを知らない。
しかし、竹村氏の肖像画は30年間、徐々にオシャレに変わりゆくNolitaの街を見続けてきた。
まるで守り神のように。
「だいたいやねぇ…」
2016年10月現在、アメリカ大統領選が混迷を極めているが、
竹村氏がアメリカの世相を斬る声が聞こえてきそうな気がする。

about the navigator

MIZ TARNIE
独自の視点でヒップホップをはじめとする様々なカルチャーを研究。
ヒップホップ的視点からニューヨークを案内したガイドブック『Wassup! NYC ニューヨークヒップホップガイド』が発売中。
Follow :
FacebookでシェアTwitterでシェアTumblrでシェア