RUTA DE CARAS
(SPAIN)
“良い日村”に行って、石像さんを拝んできた!
今回私が車を走らせたのは、カスティージャ・ラ・マンチャ州のクエンカ県にあるブエンディア村です。Buen día、これを日本語に訳すと「良い日」、良い名前の村ですね。
“良い日村”のはずれに大きなダムの貯水湖があり、その湖の一画の林の中の大きな岩に、さまざまな顔が彫られています。
1992年、ホルヘとエウレヒオという二人の若者が、自分たちの趣味である彫刻を、ここの岩に掘ろうと思い立ち、作り始めたものです。2007年までに18体の像が作られています。
「ぜひ見たい」と、カーナビにセットします。ブエンディア村まで行き、現地の人に道を聞くしかないだろうと思っていましたが、うれしいことに目的地のRuta de Caras(顔のルート)と入れただけで出てきました。
カスティージャ・ラ・マンチャ州の荒涼たる道を1時間半以上かけてブエンディア村に着きました。ここまではスムーズに行くことができたのです。
村に入るとすぐにiマークの観光インフォメーションがあったので車を停めましたが、なんと閉まっているではないですか。横を見ると、岩を掘って造った家がありました。廃墟になっていて誰もいません。その向かいにある、大きな広場にたくさんのテーブルと椅子が並べられているレストランも閉まっています。
主要道路と思われる道を進むと、左手にアーチ門のある城壁があり、右手ではちょっとした市が開かれていました。しかし、そこには恐そうなおじさんが、一人のおばさんと話をしているだけです。
カーナビは、その市が開かれている道に入るように指示をしているのですが、通行止で通れません。「なんとかなるわ」と、違う道を進みますと、すぐに村を出て、周りには全く何もない細い砂利道に変わってしまいました。
しばらく行くと二股に出ました。そこには大きな焦げた看板にペンキで「CARAS」(顔)と書かれていたので、そちらに進みます。
10分ほど進むと三股です。看板はあったのですが、右手に湖が見え、ちょっとした林がありますし、サッと見た看板にも「Ruta de Caras」と書かれていたので、当然そちらに向かいます。
ゴロゴロとした石の転がっている細い道をどこまで行っても何もありません。カーナビは「イサベル通りをまっすぐ進め」と言い続けています。やっと自転車を走らせている人に出会ったので「顔のルートは、あとどのくらい?」と聞きますと「この道じゃないよ」との答え。車で行くには、三股を左に入らなければならなかったのです。
「あなたの目的地です」とカーナビが言います。平然と。やっと入り口に到着したようです。
門がちゃんとあり、案内ボックスもありますが、やはり誰もいませんでした。
道を進んでいったのですが、18体の石像があるはずなのに7体しか見つかりません。入った所の看板を確認しないで進んだ私は、間違って歩いてしまっていたのです。
なんとしても湖が見える所に作られているはずのシャレコウベの石像は見たくて、1時間もかけ、登ったり降りたりしながら探し周りました。
限界に近い状態で、岩に寄りかかり周りを見渡すと、小さな方向指示の看板があるではないですか。4ルートあるのに、1のルートだけをグルグル回っていたのです。1のルートは入口から登りのルート。
2のルートにもいくつかあり、シャレコウベは3のルートにありました。両方とも下りのルートです。
シャレコウベが岩の上に見えた時には、なんと嬉しかったことでしょう!岩をよじ登り、シャレコウベに頬寄せしてしまいましたね。シャレコウベも「よく来たね」と笑っていましたよ。
続いて、4のルートがあります。そこにもいくつか石像があり、湖のほとりにも出られます。写真に色が出なかったのが残念なのですが、コバルトブルーの、それはそれはきれいな湖のほとりに行きたかったのですが、下りのルートなのです。車まで戻るのに登り続けなければいけないことを考えると、根性無しの私は、そこより下には行けませんでした。
1992年から2007年にかけ、この18体の像が造られ、それによりブエンディア村には、休みの日に観光客がたくさん訪れるようになりました。
これを作ったホルヘとエウレヒオの2人が、どこの人間なのか、今何をしているかは全く分かっていません。
まだ彫ることのできる岩がたくさんあるのに、姿が見えなくなったのは、2人で人知れず作っていたかったからかも知れませんね。