MOERAKI BOULDERS
(NEW ZEALAND)
海岸に転がる謎の丸い巨岩
ニュージーランドの南島・オアマルの街から車で約30分走ったモエラキの海岸に、『モエラキボルダー』と呼ばれる何とも奇妙な巨岩が転がっています。まん丸い形をした岩は大きいもので直径2mもあり、もちろん人間が動かせるようなものではありません。その重さは数トンもあるのだとか。こんな巨大な岩がモエラキの海岸にはたくさん転がっていて、これは宇宙人が造り出した奇岩?なんて考える人もいるようです。
ニュージーランドの先住民族マオリの伝説によると、このモエラキボルダーは1000年ほど前に、神の石と呼ばれるグリーンストーンを探して難破した大きなカヌー・アライテウル号の陸上生活で使用されていたと言われています。モエラキボルダーは元は、うなぎのるつぼ、またはひょうたんやクマラ(さつまいも)であったと言い伝えられているそうです。マオリの伝説には不思議なものがたくさんありますが、モエラキボルダーを発見したマオリ族が、何らかの方法で大きな岩を日常生活に使用していたことがうかがえます。
さて、このなんとも不思議な岩ですが、実は科学的にどうやって形成されたのか、説明ができるそうです。モエラキボルダーは亀甲石が凝固したものなのだとか。近くでよく見ると、亀の甲羅のような模様が入っているものもあり、日本でも群馬県などで見られる亀甲石の模様と似ています。
モエラキボルダーの形成は、真珠ができる工程と似ていて、中心に貝殻や生命体の残骸などの核があり、その周囲を石灰質などに覆われてできているということです。また、かつてモエラキの地層は海底だったことが分かっています。モエラキボルダーは海の底で6000万年前に形成され、400万年以上もの年月を経て丸い形になり、およそ1500万年前に隆起して、現在のように謎の奇岩としてモエラキの海岸で見られるようになりました。また、巨大化したモエラキボルダーの中は、空洞だそうです。
それにしても不思議です。どうして、ニュージーランドのモエラキの海岸でだけ、こんなにも大きくて完璧に丸い形をした亀甲石が転がっているのか…?海岸では、ひび割れたモエラキボルダーも見られ、ボルダーの中に人間がすっぽり入って記念撮影することもできます。
ちなみに、満潮時にはモエラキボルダーは海の中に隠れてしまって見えません。見に行く前には、モエラキの満潮情報などをインターネットでチェックしていくのがよいでしょう。朝焼けや夕暮れ時などに見るモエラキボルダーや、半分海の中に隠れてしまっているモエラキボルダーも神秘的です。歴史の詰まった奇岩、モエラキボルダーは一見の価値があると言えるでしょう。