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世界の珍スポット - for curious travelers

サン・ベルナルディーノ礼拝堂 (イタリア)

SANTUARIO ARCIVESCOVILE DI SAN BERNARDINO ALLE OSSA
(ITALY)

ファッションの街ミラノでホラースポットを発見!?

圧巻のビジュアル!壁面は全て骸骨だらけ

ミラノといえばファッションとデザイン。世界的な流行の発信地として知られ、街ゆく人々の格好もどこか洗練された印象のある街です。そんなおしゃれなミラノの中心街で、ちょっと意外なホラースポットを発見しました!

ご紹介するのは「サン・ベルナルディーノ礼拝堂」と呼ばれる教会。ミラノの中心地であるドゥオモ広場から徒歩で10分くらい、近くにミラノ大学もあることから常に多くの人が行き交うエリアに位置しています。
外見はレトロな雰囲気を漂わせていますが、イタリアではさほど珍しくないシンプルな建物だけに、ここがホラースポットとは気付かない人も多いかもしれません。事実、ミラノに住んでいるイタリア人ですら、この礼拝堂の存在を知らない人も少なくないのです。

白を貴重としたシンプルな外観、この中がホラースポットになっているとは想像できません
白を貴重としたシンプルな外観、この中がホラースポットになっているとは想像できません
イタリア語名である「San Bernardino alle Ossa」の看板が目印
イタリア語名である「San Bernardino alle Ossa」の看板が目印

問題の礼拝堂は、建物を入ってすぐ右側の小さな扉の奥にあります。

中には、扉をくぐった時点で温度が下がったような、ゾクリとした悪寒を感じる人もいるかもしれません。それもそのはず、礼拝堂がある小部屋はおびただしい数の人骨で埋め尽くされているのです。キリスト教の信仰の象徴である十字架はもちろん、祭壇を彩る飾りも人の骨。4面の壁をびっしりと埋め尽くしているのも人の骨。とにかく、どこを見渡しても人骨だらけ。
祭壇の正面中央に置かれたマリア像はさすがに骨ではないものの、この空間の中にあると何か不気味な存在のようにも見えてしまうから不思議です。

壁面は下から上まで骸骨でびっしり、圧巻の一言!
壁面は下から上まで骸骨でびっしり、圧巻の一言!
金網で止められているので落ちてくることはありませんが……それでも迫力があります
金網で止められているので落ちてくることはありませんが……それでも迫力があります

 

骸に隠された、悲しい歴史とは……?

12世紀中頃、この礼拝堂がある場所には共同墓地がありました。当時、ミラノではペストやハンセン病が流行していて、近くの病院で亡くなった人たちの埋葬場所として、広場に面したこの土地が選ばれたのです。その後、墓地はすぐに手狭になり、1210年には敷地の片隅に遺骨を納めるための小さな小屋が作られました。現在残っている礼拝堂は、この小さな小屋を前身としているのだそうです。

現在安置されている骨はさすがに当時のものではなく、戦時中に野戦病院でなくなった人たちのものが使われているのだとか。礼拝堂のある小部屋自体がどことなく物悲しい雰囲気に包まれているのは、若くして亡くなった兵士たちの無念の叫びが込められているのかもしれません。

びっくりするようなビジュアルですが、れっきとした礼拝堂です
びっくりするようなビジュアルですが、れっきとした礼拝堂です

それにしても……人の生死と宗教が密接に関わっているのはどの国でも共通しているものですが、こんなにも直接的な表現で教会を建設するイタリアのおおらかさには驚かされるばかりです。万人におすすめできるスポットではありませんが、もしかしたら人の生死について考えるきっかけになるかもしれません。興味のある方は、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

about the navigator

鈴木圭
イタリア・ミラノ在住、フリーライター。
広告ディレクターや海外情報誌の編集者などを経て、2012年にイタリアに移住。
イタリア関連情報や海外旅行、ライフスタイルなどの分野を中心に活動中。
物欲が強いので、旅行先ではお土産物屋さんに吸い込まれがち。特に布とキリムに弱い。
「とりあえず食べてみよう」をモットーに生きてます。
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