HILJAINEN KANSA
(FINLAND)
フィンランドのど真ん中にたたずむ「沈黙の人々」に遭遇しよう!
「あなたは誰?ここはどこ?」と思わず叫びたくなる、フィンランドの珍スポットを紹介しよう。その名も「ヒリヤイネン・カンサ」、英語に訳すと「The Silent People」、つまりは『沈黙する人々』という意味で、フィンランド東北のスオムッサルミという町の草原の真ん中で、服を着せた1200体の木製フィギュアがたたずむアートのことである。「え、かかしじゃないの?」というあなたは、以下をよく読んで理解し、沈黙するように。
このアートは、地元の著名なダンサー、レイヨ・ケラ氏が1988年に発表したもので、当初はラッシラの草原に展示されており、1994年にはヘルシンキの大聖堂前の元老院広場にもその姿を現した。それ以降、故郷に錦を飾るように「ヒリヤイネン・カンサ」はスオムッサルミに戻り、現在に至るまで展示が続けられている。
1200体のフィギュアは、地元のユース・ワークショップのメンバーがメンテナンスを請け負っており、年に2回の衣替えや泥炭とわらでできた頭の修復し、原型を保ち続けている。そこまでして立ち続け、何も言わないこの人々は、一体何を訴え伝えようとしているのか――それは現在64歳のレイヨ本人が口を割らない限り迷宮入りだ。解釈は見る人に完全にゆだねられており、それがかかしとアートの違いなので心して見ていただきたい。このアートは年中無休、いつでもあなたを歓迎する。
アートだけではない。沈黙の人々のすぐ隣には丸木小屋のカフェがあり、観光客が泊まれる牧場小屋もある。カフェは夏と秋限定で、今年は9月15~18日の9~17時、9月22~25日の9~17時までの営業で、2017年には 、6月5~18日の10~17時、6月19日~8月6日の9~18時、8月7日~13日の10~17時までの(秋は未定)営業を予定している。カフェのお勧めは、直火で熱して淹れるやかんコーヒーと、大きな鉄板で焼くフィンランド風クレープ。食事と宿泊とサウナは事前予約が必要だ。
取るものもとりあえず行って見てみようというあなたは、飛行機の最終目的地をヘルシンキからカヤーニ空港に延長してみよう。何しろ辺境なので、カヤーニからスオムッサルミまでは一日一便の高速バス、スオムッサルミから現地まではタクシーしか交通手段がない。ヘルシンキから電車にゆられてカヤーニまで行くもよし、腕に自信がある人は車で北上してみても楽しかろう。日帰りでは済まない濃厚なサバイバルツアーが待っている。