THÜRINGER KLOß-WELT
(GERMANY)
マニアックすぎる!
ドイツの国民食「じゃがいもだんご」の博物館
ドイツはじゃがいもの消費量がとても多い国です。当地のじゃがいも料理の代表格といえば、クヌーデル(Knödel)やクロース(Kloss)と呼ばれるもちもちのお団子。ドイツ料理レストランで肉料理と一緒に出てきて、付け合せとは思えないほどの存在感を放っている、あの巨大なお団子です。
じゃがいも団子はドイツ全土で親しまれている国民食ともいえるものですが、特に中東部のテューリンゲン地方の名物として知られているのが「テューリンゲン風クロース」。ワイマールの郊外にはなんと、クロース博物館なるものまであるのです。その名も「Thuringer Kloss-Welt」(テューリンゲンのクロースの世界)。ドイツにおもしろ博物館は数あれど、このマニアックさには唸らされました。じゃがいも団子の博物館なんて、きっと世界にただ1つでしょう。
ガイドツアーに参加した私たち一行は、クロースの女王(!)からじゃがいもとクロースの歴史についてのレクチャーを受けた後、クロース作りに挑戦。できたてのクロースに2種類のソース(牛肉と人参)をかけていただいたのですが、これがフレッシュで美味しかったこと!生のじゃがいもがたくさん入っているので、しゃきしゃきした食感も楽しめるんです。今まで添え物だと思っていたじゃがいも団子の概念ががらりと変わった瞬間でした。このほか館内のカフェでもクロースをいただくことができます。
併設のショップには、クロース作りに使うじゃがいもおろし器や布ふきん、博物館のオリジナルグッズなどがずらり。冷凍食品メーカー直営とあって、クロースはもちろんケーキにアイスまで様々な冷凍食品が並ぶコーナーもあります。チェ・ゲバラ印の葉巻アイスなんていうレアものも発見!その他懐かしの人気キャラクター商品、地ビール、マスタードや酢漬けきゅうりの瓶詰など、テューリンゲン発のオスタルギー(旧東ドイツの郷愁)ただよう商品も豊富。他ではなかなか見かけないちょっと変わったお土産も見つかります。一番ツボだったのがキーホルダーになったクロースちゃん。なぜか目が半開きであまり可愛くないのですが、妙に愛着がわいてくる不思議キャラなのです。
クロース博物館の2階部分は「Kloss-Mobile」という自動車展示場になっています。旧東ドイツ時代にテューリンゲンで自動車製造をしていた国営企業「EMW(アイゼナハ―・モトーレンヴェルク)」の車両が50台以上も並ぶ巨大なガレージは圧巻。車を取り巻く当時の生活を再現したコーナーも興味深いです。お気づきの方もいると思いますが、「EMW」はあの「BMW」の流れをくむ会社。ここに展示されている当時のヒット車「ヴァルトブルク」は今も熱烈なファンが多いそうで、好きな人にはたまらないかもしれません。
それにしても、じゃがいも団子と自動車って……なぜこの組み合わせになったのか謎ですが、このシュールさもまた、珍スポット好きにはツボなのでした。いたるところにオスタルギーがただようなんともユニークな「クロース博物館」。普通の観光地では満足できない珍スポットファンにおすすめです。