EL TUBO
(PERU)
闇に浮かぶ炎の温泉
アルガロボの木がまばらに生える砂漠に、忽然と現れる温泉「エル・トゥボ」。
温泉が湧き出る1m四方ほどの小さな窪みの中央に、鉄製のトゥボ(パイプ)が突き出ていることからそう呼ばれていますが、正式な名前はまだありません。
「Géiser de Aguas Termales(間欠泉)」と呼ぶ人もいるようですが、そういうにはちょっと迫力不足かもしれません。
こんな何もないところに温泉が湧き出ているだけでも不思議ですが、夜になると更に驚きの光景を見ることができるんです。
夜の帳が下りるころ、準備してきた新聞紙にライターで火をつけます。
その新聞紙をトゥボに向かって投げると・・・ボッ!
トゥボが真っ赤な炎を噴き上げました!
トゥンベスを含むペルー北部海岸エリアは、油田や天然ガスなどの地下資源が眠る場所。
エル・トゥボがあるソリートスは、南米初の油田が誕生した町でもあるんです。
エル・トゥボの鉄管も、もとは油井(石油を採掘するための井戸)用ですが、幸か不幸か湧き出たのは原油ではなく温泉でした。
そのトゥボから今でもわずかにガスが漏れているらしく、火をつけるとメラメラと燃え上がるというわけなんです。
町から離れている上に地図にも載っていないため、地元の人ですら滅多に訪れることのないエル・トゥボ。
また周囲には店どころか、着替える場所やトイレもありません。すべては青空、または星空の下で用を済ませるという開放的なところもウリです。
まさに知る人ぞ知る、炎の温泉というわけです。