SEEGROTTE
(AUSTRIA)
ヨーロッパ最大の地下湖の神秘をボートで探索!
「ウィーンの森に眠る欧州最大の地下湖」と言えば、どのようなものを想像しますか?
鉱山、ナチスの軍事工場、映画のロケ地と、数奇な歴史を歩んできた、地下湖「ゼーグロッテ」の内部の様子をご紹介します。
ゼーグロッテの歴史
このゼーグロッテは、元々は地下湖ではなく、ハプスブルク家時代の石膏鉱山でした。1848年から採掘されていましたが、1912年に巨大な地下水脈に当たり、大量の地下水が流入して、鉱山は閉鎖されます。
しかし転んでもただでは起きません。内部が整備され、第一次世界大戦後の1932年から、「欧州最大の地下湖ゼーグロッテ」は観光地として有名になります。
第二次世界大戦が始まると、オーストリアはナチス・ドイツに併合されます。そしてこのゼーグロッテではなんと、ナチスの秘密の軍事工場として、軍用機が作られていました。
そして、第二次世界大戦が終わり、再びここは観光地に戻ります。鉱山や、ナチスの軍事工場の廃墟に、巨大な地下湖と、様々な神秘的な景色が広がるゼーグロッテは、多くのドラマや映画のロケ地にも選ばれています。
内部の様子
ゼーグロッテの内部は、1時間半ほどのガイドツアーで見学することができます。ツアーの前半は徒歩で鉱山や軍事工場跡を見学し、その後ボートで地下湖を巡ります。
まずは、鉱山時代の坑道に作られたトロッコの線路を歩きます。鉱山内部は狭い坑道だけでなく、式典などに使用された華やかな大広間が数多くあり、発掘事業の想像以上の大きさに圧倒されます。ハプスブルク時代の鬱蒼と茂る森の中に、これほど大きな地下都市があったことが、にわかには信じられません。
そして、秘密の軍用機工場の跡も垣間見ることができます。まさかこんな地下で飛行機を作っているなんて、外から見たら気が付きませんよね。当時地下水は全て、常時ポンプで掻き出していたそうです。
また、この地下の広間や洞窟は、1993年の映画「三銃士」のロケ地にもなっており、セットが多数残されています。
徒歩部分のツアーが終わると、下に続く階段を下り、ボート乗り場に向かいます。
ボートに乗って、波一つ立たない真っ暗な鏡のような地下湖を、ゆっくり巡っていきます。目に映る風景は幻想的そのもの。
ライトアップされた遠くの洞窟や、ふと目に入る人工物。ここでは、自然と人工の神秘的な融合が見られます。現在でも、一定の水位を保つために、大量の水がポンプで外にくみ出されています。
鉱山の中の温度は年中一定で9度です。訪問される際には長袖と歩きやすい靴をお持ちください。
想像を超える大規模な、水が支配する失われた地下都市ゼーグロッテ。ウィーンの森の散策がてら、訪れてみてはいかがでしょうか?