WAT PASEE
(THAILAND)
何でもアリ?の奇抜なお寺
バンコクにはガイドブックにも載らない奇抜で面白いお寺がたくさんあります。その一つが「ワット・パーシー」です。といっても日本人も多く住むエカマイ地区に在り、在住者には既に有名な寺院です。
まずその外観がタイの一般的な寺院とは異なります。まるで城か要塞の様な本殿は一見したところ仏教のお寺には見えません。また、この寺院は夜になるとド派手な電飾がピカピカ輝きだします。建物内にはタイ仏教の仏像の他にも、ヒンドゥーの神々の絵や像が祀られていたり、中華風の廟の様な一画があったりもします。さらに境内には動物の飼育小屋があり、ここでは大きな水牛が飼われています。その他にも犬、猫、鶏などが自由勝手にあちこちを歩き回っており、まさに何でもありのお寺です。
ワット・パーシーのすぐ裏にはセンセーブ運河が流れており、ここを走る運河ボートは今日もバンコク市民の生活の足となっています。“パーシー”とはタイ語で“税金”を意味するそうです。もともと「ワット・パーシー」という名は、この場所で運河を通る船から通行税を徴収していたことに由来するといわれています。160年以上の長い歴史を持つこの寺院は、一時期は処刑場として使用されていたという話もあり、やはりタイの寺院の中でもユニークな存在であるといえます。
善行により功徳を積むことを、タイでは“タンブン”と言います。寺院で飼育されている水牛に餌を与える行為はこのタンブンにあたるものと考えられています。本来ならば布施として寺院にお金を払って飼葉を入手するか、もしくは寺の外で購入した野菜などを持ち込むべきところですが、ワット・パーシーでは飼育小屋の前に積んである草を勝手に与えることができます(これではタンブンにならないような気もしますが)。ここは街中の動物園以上に動物と身近に接する事ができる場所かもしれません。
通常、一般の旅行者などが立ち寄ることの少ないワット・パーシーですが、年に一度、10月末に行われるロイクラトン祭りの日だけは多くの参拝者がここを訪れます。ロイクラトンとはタイの灯篭流しです。寺院内外の屋台等で購入された無数の灯篭が、センセーブ運河に流されます。この一日だけ、ワット・パーシーは大いに盛り上がります。