FALU GRUVA
(SWEDEN)
洞窟&歴史好きにおすすめ!世界遺産の地下に広がる暗闇の坑道
スウェーデン・ストックホルムから電車で約3時間、ダーラナ地方の中心都市であるファールン。2015年にはノルディックスキー世界選手権が開催され、世界中の人々がこの地を訪れました。
街の中心部から約1キロほど離れた場所に、一際存在感があるエリアが見えます。それが、スウェーデンを代表する世界遺産でもあり この街が誇る大銅山地域(Falu Gruva)。
この銅山で採掘された銅はファールンレッドというスウェーデンの伝統的な家の色である赤褐色家の塗料をはじめ、硬貨や通信機器の銅線など現代に至るまで身近な生活用品に使用されています。また世界中にある教会の鐘、フランスのヴェルサイユ宮殿の天井にもFalu Gruvaの銅が使用されているのです!
銅産業全盛期だった16世紀には、ヨーロッパにおける銅生産の3分の2がこの場所で採れた銅が占めていたほど。
しかし、1687年に起こった坑道大崩落事故による深さ約300m直径100メートルの巨大な穴が大惨事を物語っています。
数々の困難と悲劇を乗り越え、国の発展にも貢献したこの採掘場は1992年まで労働者が実際に採掘作業をしていたそうです。
Falu Gruvaはファールン市民だけではなく、スウェーデン人が誇る特別な場所。現在は野生のフクロウが生息しており、たまに岩間を優雅に飛ぶフクロウを見ることが出来ます。周囲は自然が豊富で現地の人々が敷地内を散策、又は犬の散歩をしており過去の悲劇を感じさせないほど、平和な雰囲気だったのが印象的でした。
またFalu Gruvaでは毎年クリスマスの時期になるとクリスマスマーケットが開催されます。世界遺産での大イベントということもあり毎回多くの人で賑わいます。1年を通して国内外から多くの人々がこの地を訪れているのです。
地上から見る景色も充分に見応えがありますが、魅力はそれだけに留まりません。実は、この大銅山地域では地下69m地点まで下り坑道を歩くツアーが大人気!!
ドキドキしながらツアーに参加してみることに。すると、想像を絶する地下の神秘的な世界が広がっていました。
坑道ツアーでは、ヘルメットにカッパのような基本装備を身に着けて参加します。夏にも関わらず肌寒かったのと、真っ暗だったのが衝撃!ガイドさんが持つライトが無いと周囲を見ることが出来ませんでした。寒く暗い洞窟の中でひたすら採掘作業・・・気が遠くなるほどの過酷な労働環境。現在のように工具や懐中電灯などが無かった17世紀、当時の労働者がどんな気持ちで採掘作業をしていたのか思いを巡らせました。
銅の採掘に命がけで尽力したにも関わらず、落盤事故により犠牲になった多数の労働者・・・。岩壁に書かれたメッセージのようなものや、採掘作業中であったであろう痕跡が胸に迫ります。
幸いにも岩盤にはミネラルが豊富に含まれているので、落盤事故のとある犠牲者が40年後に発見された際、事故当時と全く変わらない綺麗な姿で発見されたという衝撃的な事実もミュージアムで知ることが出来ました。
Falu Gruvaは歴史&洞窟好きだけではなく、ちょっと珍しい「地下の世界遺産」に興味がある方には是非おススメしたいスポットです!!